クエン酸は1784年に、レモン汁から発見された酸味をもつ酸の名です。レモンやライムなどの柑橘類の果汁に、比較的多くのクエン酸が含まれています。大きめのレモン1個には約4g、梅干し1個には1g含まれているとされています。
日本では昔から、健康食として、また疲労を回復し、病気を防ぐものとして、柑橘類に含まれるクエン酸を利用してきました。
クエン酸は体内を休むことなく駆け巡り、エネルギー代謝に欠かせない栄養。体内には「クエン酸サイクル」という英国のクレブス博士が発見した仕組みがあ
り、昭和28年ノーベル賞を授与されました。「クエン酸サイクル」というのは「体の原動力を作る工場」のようなものです。食事などで体内に摂取された糖
質・たんぱく質・脂肪は、それぞれがいくつかの酸(グルタミン酸、脂肪酸など)に分解されて、吸収されます。吸収された先にあるのが「クエン酸サイクル」
で、このサイクルがうまく回ることによりエネルギー産生や新陳代謝の働きにつながるのです。つまり、「クエン酸サイクル」を潤滑に機能させること、カラダ
の働きを活発にさせる栄養が、クエン酸とも言えます。
黒麹菌は、世界でも沖縄だけに見られる独特の麹菌です。黒麹菌の大きな特徴は黄麹菌よりも、レモンのような酸っぱさのもとになるクエン酸をたくさん造りだ
す点です。酸の多い麹で仕込まれたモロミは他の雑菌が繁殖しにくくなります。すなわち、温暖な気候の沖縄でモロミが腐ることが少ない原因になっています。
このような黒麹菌を使っているために酒の香りが良いともいわれます。また、黒麹菌は生澱粉(でんぷん)を分解する力も黄麹菌より優れているといいます。
もろみ酢の成分の中でクエン酸と並び特徴的なのが、豊富に含まれるアミノ酸です。アミノ酸は、筋肉や髪、骨などの素となるタンパク質を構成する栄養素で
す。新しい細胞をつくったり、健康には欠かせないもので、バランスのいいアミノ酸摂取が必要といわれています。中でも9種類ある必須アミノ酸は体内では生
成できないため、食物から摂るしかありません。もろみ酢はその必須アミノ酸9種類すべてと、その他のアミノ酸を合わせて18種類も含まれています。人の中
で利用されるアミノ酸は全部で20種類ですから、もろみ酢がいかにアミノ酸を豊富に含んでいるかがわかります。またもろみ酢は、一般の米酢に比べこれらの
アミノ酸を約20倍も含んでいます。
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